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LINN45周年/2010年代

■2010年代

2010  Majik DS-I:ネットワークプレーヤーDSとプリメインを同居させた最初の製品
2011  Linn DSM:ソースとプリアンプを組み合わせたシリーズ登場
2012  Akubarik :5wayアクティブスピーカーの研究開発
2013  Exakt:アーティストとリスナーをダイレクトに結ぶExaktテクノロジーがKlimax 350に搭載
2014  Exakt Akudorik & Akurate Exaktbox:様々な製品にExaktテクノロジーが搭載される
2015  Krystal:フラッグシップカートリッジの恩恵を受けたMCカートリッジ誕生
2016  Katalyst:Linn第4世代DACテクノロジーがKlimax DSとDSMに搭載される
2017  Katalyst :Klimax 350、Akubarik、AkudorikにKatalystが搭載
2018  Urika II & Lingo 4:アナログ&デジタルハイブリットフォノイコライザー、新外部電源発表

DSの誕生は、DSMシリーズへと発展していきます。

ご家庭で楽しまれる様々なソースを統合し高音質で楽しめて、
ソース選択やボリュームコントロールなどをタブレットで一括操作するDSMは、
現在のLINNの紛うことなき中心製品です。

2013年には革新的デジタル伝送システムExaktが登場します。
デジタルでのロスレス領域を極限まで広げ、アーティストの生み出した音楽を
リスナーの耳まで欠落することなく届ける究極のシステム。


現在では、5製品にまでExaktスピーカーを拡充し、
様々なグレード、様々なサイズ、様々なルックスでラインナップされます。
今後はこのシステムでのサラウンド再生も充実していく予定です。

Klimax Exakt 350

そして最も直近に誕生したのが、デジタルテクノロジーを大胆に取り入れた
フォノイコライザーUrika II。

Urika II

Krystal

レコード盤に直接触れるようなダイレクトかつ豊かな音質には、
特大のインパクトがあります。
今まで聴かされていたのはレコードの音ではなく、フォノイコライザーの音だったのか…
という事実にしばし唖然とすること間違いなし。
アナログ回路では全く不可能な、正確で自然なイコライジングは、
馴染みのレコードの価値をまったく新しいものにします。

デジタルテクノロジーを自在に活用し、
幅広い音楽ソースから最大の感動を引き出すことを可能にして来た近年のLINN。
アナログレコードでもネットワーク上の音楽データでも、サラウンドサウンドであっても
「欠落なく、情報を正しく音楽に蘇らせる」という目的は変わりません。

LINNはこれからどんなシステムを我々の前に提示してくれるのでしょうか…
これからも皆様と音楽を。


©Kenji MASUNAGA/益永研司写真事務所

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LINN45周年/2000年代

■2000年代

2000  Kaber Aktiv Tunebox:Kaber スピーカー専用のアクティブクロスオーバーアンプ
2001  Kivor:CDリッピング機能とフルバンドでの音声送信を可能にするミュージックサーバー
2002  Komri:新アレイテクノロジーを採用したフラッグシップスピーカー誕生
2003  Unidisk:ユニバーサルディスクプレーヤーシリーズ発売
2004  Chakra:革新的パワーアンプテクノロジー完成
2005  Artikulat 350A:最初のアンプ内蔵アクティブスピーカー完成
2006  Ekos SE & Keel:フラッグシップトーンアーム、強化サブシャーシ発表
2007  Klimax DS:世界最初のハイクオリティーネットワークプレーヤー誕生
2008  Klimax Loudspeaker:前身となったArtikulatを大きくしのぐ音質を獲得
2009  Radikal & Urika:LP12用電源と内蔵型MCフォノイコライザー発表

2000年頃から、現行のKlimaxシリーズへ繋がるトップエンド製品が次々と登場しました。
年表に登場していない製品も含めると、前年のKlimax Soloから始まり、スピーカーKomri、
プリアンプKlimax Kontrol、パワーアンプKlimax Twin、スピーカーKlimax 350、
トーンアームEkos SE、LP12サブシャーシKeelなどなど…

Komri / Ekos SE

Klimax Solo/Twin

何と言っても最大のトピックとなったのは、Klimax DSの登場でしょう。

世界のハイエンドオーディオシーンを方向付けし、
「LINNといえばDS」と言われるほどになったネットワークプレーヤー。

ここからのラインナップ/製品開発はDSの延長線上で行われ、
サウンドクオリティーと利便性、音楽再生の楽しさを鮮やかに変えていくこととなります。
データのやり取りはインターネットや家庭内ネットワークで高速に行われ、
ディスクプレーヤーがその使命を終えていく中で、
ネットワークプレーヤーがその役割を負っていく…

この道筋を音楽ファンに見事に提示したのがDSシリーズです。

ハイレゾ再生、ストリーミングミュージックなど、
今や世界で当たり前となった音楽の楽しみ方がスタートしたのです。

Klimax DS

LINNの経営もいよいよギラード(Gilad Tiefenbrun)にバトンタッチされます。

2003年の参画から4年かけて全てのソフトウェアとハードウェアの設計を自社で行い、
DSを完成させるまでの道のりはまさしくギラードの挑戦と言うに相応しいもの。
しかしその甲斐あってDSの音質と操作性は、今をもって他者を全く寄せ付けません。
ネットワークへの深い理解をベースとする先見性、音楽再生の未来への希望と覚悟、
自前のテクノロジーで完成させたことによる柔軟性・アップグレーダビリティ。

どれが欠けても現在のDSそしてLINNはなかったでしょう。

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LINN45周年/1990年代

■1990年代

1990  Lingo:初のLP12外部電源発売
1991  Kremlin & Kairn & Keltik:FMチューナー、プリアンプ、スピーカー発売
1992  Keilidh & Karik/Numerik:スピーカー、CDプレーバックシステム発売
1993  Brilliant power supply:オリジナル・スイッチング電源リリース
1994  Knekt system:マルチユーザーオペレーションを可能にした先進的マルチルーム
システム誕生
1995  AV51 system:サラウンドシステムコンセプト発表
1996  AV5103:高級オーディオとして世界で初めてのサラウンドプロセッサー誕生
1997  Sondek CD12:世界のCDプレーヤーの新しい品質基準を創出する衝撃の製品
1998  Classik:CDプレーヤー・プリメインアンプ一体型が人気を博す
1999  Klimax solo:新しいフラッグシップパワーアンプがオーディオパフォーマンスの
基準を高める

この頃から私共リンジャパンがLINN製品の取り扱いを始めます。
この年代はまさしく激動です。

CDメディア登場から約10年して、LINNの初代CDプレイヤーシステムが完成しました。
LP12と言うスタンダードと十分に渡り合えるCDプレーヤーでなければ許せなかったLINNは、
長い研究開発ののち、当時他社モデルで見ることのなかったクロックシンクシステムを持った
トランスポート&DAコンバーターを発表します。

また1996年には本格的な5.1chサラウンドフルシステムが活躍します。
海外製サラウンドプロセッサーとしておそらく日本で最もユーザーの多かったAV5103は、
シアターファン憧れの製品。
今でもその名を聞くとドキドキするほどです。


そして、LINNの歴史上特に重要な製品たちも誕生しました。
Sondek CD12とClassikです。

CD12

世界の頂点に君臨した伝説のCDプレーヤーと、
とても多くの音楽ファンを喜ばせた一体型ミュージックシステム。
「きれいなネイルの女性にも最高の音楽を聴いてほしい」と
洒落たことを言いながら発表したCD12。
見慣れたボタンを無くし、クローム仕上げの削り出しトレイをタッチすることで
基本動作が行える、最高に美しい製品でした。

Classik

「ハードに強くない私の母親のような人にも、迷うことなく音楽を聴いてほしい」
と誕生したCD+アンプのシンプルなClassikは、
のちに様々なバリエーションモデルを生むことになる
最高に楽しく優しい製品でした。

LINN何たるかを象徴する2つの製品がLINN誕生25周年を飾ってくれました。

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LINN45周年/1980年代

■1980年代

1980  Basik : MMカートリッジの誕生
1981  Nirvana kit:LP12アップグレードキット登場
1982  Valhalla:LP12強化電源登場
1983  Karma:MCカートリッジ発売
1984  Axis:ターンテーブル登場
1985  LK1&LK2:プリ&パワーアンプの誕生によりLinnのフルシステム構築が可能になる
1986  Troika:メタルボディー&3点支持MCカートリッジ発表
1987  Nexus:スピーカー登場
1988  Ekos:グラスゴー産トーンアームにより新しい基準が誕生
1989  Akito:現在まで続くトーンアームのファーストバージョン

LP12および周辺製品の改良を進めているLINNですが、80年代に大きな動きが起こります。

今までLP12を再生するには、必ず他社製品アンプを使わざるを得ませんでしたが、
ついに革新的なアイデア満載のプリアンプとパワーアンプが完成します。


LK1は、世界で初めてソリッドステート・スイッチングを採用したプリアンプ。
機械的接点を持たないため音質劣化が少なく、
コンパクトなボディーから素晴らしい音楽を奏でます。

また今ではあたりまえですが、リモコンによってボリューム調整や
入力切り替えができるということも、他モデルにはない大きな魅力でした。

レコード全盛時代ですから、内部の半分以上はフォノイコライザー部が占めています。
多くのユーザーに支持され、LP12が奏でるサウンドを支えていきます。


そして、フラッグシップトーンアームEKOSの完成。
それに続いて弟機AKITOが登場します。

2018年現在のAKITOはバージョン3でスコットランド製ですが、初代機は日本製でした。
EKOSもAKITOも現行モデルと基本コンセプトは全く同じ。
現行モデルは30年を経て素材と工作精度がずいぶんと良くなりましたが、
サウンド面でもルックス面でも、LP12が頼りにする相棒であることに
ずっと変わりはありません。



また1986年、現在のLINNファクトリー&ヘッドオフィスがリチャードロジャース設計によって
誕生しました。この素晴らしい工場において数々の製品を生み出していきます。


世の中では、いよいよCDが登場(1982年)。
LINNのラインナップは、どう変わっていくのでしょうか。

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LINN45周年/1970年代

本年45周年を迎えたLINN。
創立から今までの各年のトピックを図案化したポスターを
プロモーションとして各所で使っていることにお気付きの方も多くいらっしゃるかと存じます。
ここで各年の訳文と、全体を5つの年代に分けた解説を少ししてみたいと思います。
お楽しみいただけましたら幸いです。


1970年代

1973  Sondek LP12:生産開始、そしてLinnの誕生
1974  Isobarik:初代アクティブスピーカー
1975  新製品の研究開発が続く
1976  Isobarik:スピーカーの改良
1977  世界中にLinn製品の輸出が始まる
1978  Asak:初代MCカートリッジ完成
1979  Ittok LVII:最初のダイレクトカップルド・トーンアーム誕生

1960年代末頃からLP12の開発・生産を始めた創設者アイバー・ティーフェンブルン
(Ivor Tiefenbrun MBE)は、いよいよ1973年にLinn Productsを設立します。
「Linn」というのは、そのエリアの名称とのこと。近くにはLinnパークという公園もあります。
語源は、滝・急流などを表す言葉です。

アイバー・ティーフェンブルン/LINN PRODUCTS

いたる所でとっても評判のいい印象的なロゴマークは、もちろんアイバーのアイデアで、
センタースピンドルの先端が1点のみで接するという
LP12の「シングルポイント・ベアリング」方式を図案化したものです。
レコードにカートリッジが乗っている様子…という解説を散見しますが、
これは間違いですのでお知りおきください。


©Kenji MASUNAGA/益永研司写真事務所

レコードプレーヤーLP12の次に登場した製品はスピーカーでした。
物理学のエンジニアであるアイバーにとって、もっともアイデアを蓄積していたのが
ターンテーブルとスピーカーであったという訳です。

このスピーカー初代機には2つの世界初がありました。

その1つが、製品名にもなった「Isobarik(アイソバリック)」という低音再生技術です。
その後特許を取得するこのテクノロジーは、小さいキャビネット容積でも
正確でパワフルな再生が可能。
LINNの現行スピーカーAkubarikのほか、他社ハイエンドスピーカーでも大活躍しています。


もう1つは、スピーカーの接地にスパイクを使ったこと。
今や世界中のほとんどのスピーカーが採用していることから、
本人は「特許取得しておけば良かった〜」と柔かにくやしがっていました。


Linnの日本への輸入は、シュリロ貿易さんによって1974年に始まったと言われています。
設立の翌年ですから、かなり早いタイミングです。英国以外への初めての輸出国のはずだと、
後のメディアインタビューでアイバーも語っています。

「小さな広告を見て直感で決めた」とおっしゃる、かの有名な一関のジャズ喫茶ベイシーで
現在も稼働するあのLP12が導入されたのもこの時期です。
現在まで約44年=約528ヶ月=約16,000日…、つまり10万時間オーバーの耐久性!

LINNの開発意欲は高まるばかり。製品を次々とリリースして行きます。

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LP12 45 Anniversary ! その7


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


G.フォノイコライザー

本コラムのラストは、フォノイコライザーです。

一般的なMCカートリッジの出力電圧は、0.3mV(0.0003V)ほどのとても小さなもの。
これはMMカートリッジの約10分の1で、ラインレベルまで上げるには
1000倍以上の信号にしなければなりません。
さらに、レコード盤に音楽はフラットな特性では入っていません。
レコードは、RIAA規格によって、低音は小さく、高音は大きく収録されて
レコード盤の特性を効果的に利用し音質を高めています。
つまり、フォノイコライザーはとても繊細かつ過酷な仕事を求められる製品なのです。

■URIKA II:LP12内蔵型MCフォノイコライザー(デジタル出力)
LP12内蔵型MCフォノイコライザー URIKAシリーズの最新型であり、
最高性能機種がこのモデルです。
このモデルでは初めてアナログ回路とデジタル回路のハイブリッド構成を導入し、
史上最も高精度なフォノイコライザーが完成しました。
EXAKTで培ったデジタルテクノロジーを大胆に導入し、
パーフェクトなRIAAカーブの再現のみならず、
アナログ回路では不可避なフィルタリング時の位相回転を根絶。
揺らぎのない克明なサウンドを実現しました。
また、製品前半部のアナログ回路におけるパーツと
その集合体である回路全体に存在する「偏差」を個体別にあらかじめ測定し、
FPGA内でデジタル補正を行い、従来は対処ができなかった個体による特性のバラつきと
左右回路のズレを寸分違わず一致させる徹底した設計。
その後プレーヤー外部にはデジタル出力することで、
信号に対する外乱の影響をなくしています。
URIKA IIは、LINNオリジナルEXAKT LINK端子を持った、
DS、DSMモデルおよびEXAKTシステムとの接続によってのみ機能します。
EXAKT LINKを装備しない旧世代のDS/DSMをお使いのユーザー様は、
アップグレードが必須ですのでご注意ください。

URIKA II

※URIKAシリーズは、専用電源RADIKALおよびRADIKAL-AKとのペアで動作します。
URIKA IIは、本機以外にRADIKAL/RADIKAL-AKとEXAKT LINK端子の付いた
DS/DSM/EXAKTが揃ってのみお使いいただけます。

■URIKA I:LP12内蔵型MCフォノイコライザー(アナログLINE出力)
LP12内蔵型MCフォノイコライザーのオリジナルモデルです。
MCカートリッジからの微細な出力を長く延ばすことなく、
10センチ程度のケーブルでアーム出力端子と接続。
音楽信号の減衰と外部ノイズの飛び込みを最小限に留めます。
細心の配慮を施した最高クオリティーの従来型アナログ方式フォノイコライザーです。
LP12からはラインレベル信号が出力される事となり、
プリアンプのLINE入力端子に接続します。

※URIKAシリーズは、専用電源RADIKALおよびRADIKAL-AKとのペアで動作します。
LINGO、MAJIK P/Sなどの電源とはお使い頂けませんので、電源も同時にご購入ください。

■UPHORIK:MM/MCフォノイコライザー
汎用性の高い単体高性能フォノイコライザーとして設計されたのがUPHORIKです。
MM、MCカートリッジ双方に対応するだけでなく、各カートリッジのインピーダンスや
静電容量に応じてアジャストすることができます。
基板は、中央部に入力端子が配置され、本を開くように左右チャンネルの回路が
シンメトリーに展開される理想的なレイアウト。
様々なレコードプレーヤーから紡ぎ出される音楽を、
いきいきとしたラインレベル信号として力強く送り出します。

UPHORIK

URIKA II ¥500,000(税別)
URIKA I ¥400,000(税別)
UPHORIK ¥30,000(税別)

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LP12 45 Anniversary ! その6


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


F.カートリッジ

現在LINNのカートリッジは3機種。

2つのMCカートリッジKANDIDとKRYSTALは、トーンアームとの強固な一体化のため、
ボディーを3つのステンレススクリューでヘッドシャルに3点支持する方式です。
他社製の一般的なヘッドシェルにはノーマルに2点での取り付けが可能ですが、
LINNトーンアームとの固定には後部にさらなる固定ポイントを装備。
これにより、カートリッジには前後方向についてもグラつき/曖昧さがなくなるため、
音楽の姿をクリアーに浮かび上がらせます。

また、ボディー材として軽さと強度両立のためT型に削り出されたジュラルミンボディー、
そして振動の要因となる余分を排除したヌードデザインを採用。
音溝にまっすぐ向いたシャープな姿は、まるでアスリートという凛々しさです。

KANDID

MMカートリッジは、躍動感に溢れ、音楽のバランスを見事に再現する、その名もADIKT。
アディクト(Adict:英語)とは、もちろん音楽に夢中になっている我々の姿を表しています。
上級機と同様とてもよく吟味された形状により、“レコードに針を乗せる”という
レコード再生に必ず発生する操作がとてもやりやすく、自然に音楽に入っていけます。

昨今、再生操作に理解のない安易なレコードプレーヤー多い中で、
LINNカートリッジには「音楽愛は本物だ!」と感じることができ嬉しくなります。

KANDID ¥450,000(税別)
KRYSTAL ¥200,000(税別)
ADIKT ¥60,000(税別)

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LP12 45 Anniversary ! その5


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


E.トーンアーム

トーンアームには、超高精度金属加工を出発点とする
LINNのメカニカルエンジニアリングが満載です。
決して真っ平らではないレコード上を外周から内に向かって移動していく
カートリッジを支える最高度のトーンアームは、羽の様に軽い動作感度が必須です。
水平・垂直方向の動きを実現するベアリングは、
ボールサイズのマッチング調整までされた最高級品。
ボール精度だけでなくそのハウジング、ベアリング全体を収めるケースの強度など、
あらゆるデリケートな案件をクリアしたトーンアームは、
聴診器を使った動作確認テストを経て出荷されます。

EKOS SE

トーンアームとは、自身を固定する中心部から
20cmほど腕(チューブ)を伸ばしカートリッジを支えるため、
このアームチューブが「とても硬く、しかもとても軽く」という
両立の難しい課題に直面しています。
最高機種EKOS SEは、アーム部にたった0.5mmという極薄のチタンチューブを製作し、
重量は問われず強度こそ大事な軸・ジンバル部にはステンレス、
軽さが重要な先端ヘッドシェル部はアルミ合金の削り出しパーツを採用しています。
ネジ止めを多用し構成パーツの多い他社のトーンアームは、
設計も製作も簡単ですが、ガタつきと重量増加の原因となるため、
LINNトーンアームは航空機用の接着剤を使った、全く違う手法で出来上がっています。
このことは、シンプルで美しい外観上の特徴にも一役買っている
我々にとってこの上なく嬉しい出来事でもあります。

■EKOS SE:ダイナミックバランス型トーンアーム
ヘッドシェル:アルミ合金削り出し
アームチューブ:チタン
ジンバル・アームピラー:ステンレス
¥600,000(税別)

■AKITO:スタティックバランス型トーンアーム
ヘッドシェル:アルミ合金削り出し
アームチューブ:アルミ合金
ジンバル・アームピラー:アルミ合金
AKITO ¥240,000(税別)

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LP12 45 Anniversary ! その4


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


D.電源/モーター

「レコードプレーヤーの音質はカートリッジで決まる」
と思われてきた常識を世界各国で変えてきたのが、LINN LP12です。
発売以来一貫して、LINNはカートリッジよりも電源のアップグレードを
優先してオススメしています。

イメージしてみてください。カートリッジは決して自ら走ることはありません。
カートリッジの針先にエネルギー(=音楽)を与えている、
つまりカートリッジに仕事をさせているのは、
定速で回転するターンテーブルに乗ったレコードです。
ターンテーブルが回転することによって、
レコード盤に刻まれた凹凸がカートリッジを震わせます。
正確で究極的にスムーズなターンテーブルの回転なくしては、
ガタガタの音しかカートリッジに伝えられません。
LP12の核であるターンテーブル/ベアリングの精度と、
ターンテーブルを回すモーター駆動システムが
レコード再生の源となっていることは明らかなのです。

RADIKAL

DCモーター

現在LP12の電源は、3方式4機種のラインナップ。
それぞれの方式は、別タイプのモーターとのコンビネーションで動作します。

■MAJIK LP12 Power Supply/ACシンクロナスモーター
最もベーシックな電源。
ご家庭のコンセントに来ている100V商用電源でダイレクトにモーターを駆動します。
50Hz(東日本)、60Hz(西日本)地域で、
それぞれにプーリーサイズを合わせたモーターを使います。
モータースピード調整機能を待たないので、
ターンテーブルの速度調整は、モーター取り付け角度(傾き)で調整されます。

■LINGO/4/ACシンクロナスモーター(小電力タイプ)
2018年第4世代となったAKURATEグレード外付け型電源。
上級機RADIKALの技術を応用し、
FPGA上デジタルで正確な2つのサインウェーブを生成。
オーディオクオリティーDACでアナログ変換したのち
2基のA級アンプがモーターを駆動します。
高精度・低ノイズのモータードライブシグナルは正確な回転と振動のない動作を実現し、
LP12ターンテーブルの工作精度を引き立てます。
セルフキャリブレーション機能により速度調整の必要もありません。

■RADIKAL/DCモーター ■RADIKAL-AK/DCモーター
グレードの違う2つの製品をラインナップするRADIKALがLP12電源の最高性能機です。
100Vの交流電源がプレーヤー内に引き込まれるMAJIK LP12に比べ、
RADIKALではたった0.2Vの直流電源が送り込まれるため、
デリケートな音楽信号に与える影響は極小。
また採用された小型のDCモーターは、コギングが少ないという回転精度への利点に留まらず、
ACモーターに比べモーターからの磁束漏れがとても少ないため、
磁力が直接的に影響するカートリッジにとっても最高の環境。
火星探査機にも使われる高耐久性DCモーターとRADIKAL電源ユニットの組み合わせは、
LP12の“静寂”に多大な貢献をしています。

また、後述のURIKAフォノイコライザーには、
本RADIKAL電源ユニットのみが給電可能です。
URIKAをお考えの方は、必ずRADIKAL/RADIKAL-AKをご選択ください。

MAJIK LP12 Power Supply ¥70,000(税別)
LINGO/4 ¥280,000(税別)
RADIKAL ¥750,000(税別)
RADIKAL-AK ¥400,000(税別)

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LP12 45 Anniversary ! その3


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


C.サブシャーシ

LP12構成パーツとして、最も重要度の高い部品の一つがサブシャーシです。
何の動作もしないパーツですから「どうして?」と不思議にお感じになられるかもしれませんが、
驚くほど大きな効果を発揮します。
LP12にとって、音声創出の物理的土台…まさしく主役と言うべきパーツなのです。

サブシャーシが支える、レコード/プラッターとアーム/カートリッジの関係を、
LP12生みの親であるアイバー・ティーフェンブルンが
「被写体とカメラ」を例に説明してくれました。

「フローティングプレーヤーの代表機であるLP12を見て
“フワフワした音”を想像されるのは、まったくの的外れです。
『音/情報を拾い上げる作業』の邪魔となる、
床からの振動、スピーカーから音波として体当たりしてくる振動、
そしてプレーヤーに取り付けられたモーターの振動。
これらの悪事すべてを無効化するために、
LP12は中心部をスプリングでアイソレーションして(浮かせて)います。
中心部とは、ターンテーブルとトーンアームを強固に一体化させている『サブシャーシ』のこと。
サブシャーシの役割はとても重要で、写真の撮影に例えて言えば、
被写体となる“レコード”とカメラに相当する“トーンアーム”の位置関係を
寸分の狂いなく保持し続けることです。
写真の『ピントがいつも合っている』という状態は、
地球が自転/公転などによって動いていることとは無関係。
たとえ被写体が高速で動いていたとしてもカメラが完璧に同調して
位置関係が不変であれば、ピントは合ったまま。
クリアーでぼけのない写真が出来上がりますよね。
強固に狂いのない中心部を、いかなる外乱からも遮断するというのがLP12。
ただただプレーヤー全体を巨大化する他モデルと、我々の着眼点は全く違います。」

最上級機である「KEEL」は、一体構造となったサブシャーシ/アームボード部を、
一つの肉厚アルミ合金ブロックから削り出し成形します。
普段ほとんど見えない部分ですが、その姿は惚れ惚れするもの。

KEEL

裏面には、肉抜きされたハニカム構造が見て取れます。
たわみ、ねじれなどによって一瞬でも被写体とカメラの位置関係が狂うことは許されません。
肉抜きの深さやブレーシングの間隔は、ひとマス毎に適切に調整され、
強度とともに重量バランスと響き(鳴き)をコントロール。
「形を変えない」という静かな仕事を、とびきり屈強なボディーで行なっているのが、
船の竜骨を意味するKEELです。
KEELにできるだけ近い性能を得られるようローコストに設計されたのが
「KORE」「スタンダードサブシャーシ」の姉妹機達です。

KEEL ¥400,000(税別)
KORE ¥120,000(税別)
Standerd Sub-Chassis + Armboad ¥60,000(税別)

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LP12 45 Anniversary ! その2


モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


B.底板/脚部

レコードプレーヤーLP12を設置場所にしっかりと安定して「置く」ということ、
そして、トッププレートと共に筐体の強度を高めるためにあるのが底板/脚部です。

第4世代となる現行の底板は肉厚のアルミ合金製。
木材やコンポジット材で製作されていた前世代品から、
歴代最高強度を獲得しているだけでなく、
飛び込みノイズをシャットアウトさせるシールドとしての効果を持ちます。

上位機種「TRAMPOLIN」は、完全な水平ではない場所にも
理想的な設置ができるよう高さ調整機能を持たせるほか、
LP12内部のフローティングとは異なる周波数で振動キャンセルを行う機構を備えています。
まさしく“トランポリン”というその名の通りなのです。
TRAMPOLINはLP12構成製品で最もお求め頂きやすい(価格対効果の高い)
アップグレードです。
ベーシックなLP12からやりたいな…という方も、
TRAMPOLINはぜひはじめからお考えください。

TRAMPOLIN

※畳部屋での設置や、柔らかいフローリング部屋での設置には
「SOLID BASE」を推奨しています。
TRAMPOLINを使用した場合、プレーヤー周辺を歩く際、
床のたわみにより針飛びを起こす原因となります。

TRAMPOLIN ¥ 30,000(税別)
SOLID BASE ¥ 20,000(税別)

→その3へ

ターンテーブルの詳細はこちら

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LP12 45 Anniversary ! その1


45周年となったLP12にまた新しいアップグレードが登場しました。
手前味噌ですが、これほどの長い間手を抜かずアップグレードを続けている製品は
どこを見ましてもちょっと見当たりません。
今回のアップグレードも、皆様をおどろかせ、うれしくさせ、ドキドキさせる製品ですので ぜひご注目ください!

モジュール形式のLP12についてよりご理解いただくため
構成製品と仕組みについて改めてご紹介するコラムを連載させていただきます。
LP12のパフォーマンスにとって、優先順位の高いセクションから順にご紹介していきます。
全7回を予定しております。お楽しみいただけましたら幸いです。

A.本体 – LP12メカニクス
B.底板/脚部
C.サブシャーシ
D.電源/モーター
E.トーンアーム
F.カートリッジ
G.フォノイコライザー


A.本体 – LP12メカニクス

どのLP12にとっても共通する「本体」をLP12メカニクスと呼んでいます。
MAJIK LP12でもKLIMAX LP12でも、プリンス(木枠)/トッププレート、
インナープラッター/アウタープラッター/センタースピンドル/軸受、
スプリング/グロッメット、*LID(ダストカバー)からなる本体は同じものです。
(*MAJIK LP12では、LIDはオプション)


14工程の研磨作業を経て完璧な半球状の先端を持つセンタースピンドルと
軸受内スラストパッドの組み合わせは、「シングルポイントベアリング」と呼ばれ、
LP12の精密な工作精度の象徴であり、
LINNのブランドロゴマークのモデルとなったものです。

そして、歪が出ないようにゆっくりと寝かしながら6ヶ月かけ精密切削されるプラッター。
インナープラッターに開けられた同寸法の取り付け穴に隙間なく圧入され、
一体化したプラッターとセンタースピンドルは、
回転時に上下振れ幅が0.01mm以下であることが確認されて、製品と認められます。
LP12ターンテーブルを回り続ける「コマ」たらしめている正体がここにあるのです。

外枠であるプリンスは使い続けるほどに価値を増す良質の天然無垢材が美しく組み上げられ、
本物・正当・適切・継続・潔白というLP12の姿をそのまま表現していると言えます。


“フローティングシステム”と“ベルトドライブ”という、
歴史によって証明されたレコードプレーヤーとしての「正解」を支えるのが、
本体内部サブシャーシを外界とメカニカルにアイソレーションさせる
フローティングユニットです。
誕生以来幾度となく改良されてきたこのユニットは、
スプリングと大・小グロメットで構成されています。
どの年代のLP12にも適合するため、他のパーツと同様、
10万台を超える世界中のLP12をこれからもサポートしていきます。

→その2へ

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EXAKT digital filter

「オーディオ」は全く新たなステージに入っている。今、私たちは既に革命後を生きている。

EXAKT digital filter (イグザクト・デジタルフィルター)発表会のために来日した
LINN のチーフエンジニアとKEF の音響セクション(=アコースティック)のヘッドエンジニアと
過ごした短いながら充実した時間の中でそれを確信する。

ロスレスなデジタル伝送を活用し、「音源をスピーカーの中にまで」届け、
録音の現場とリスニングルームの隔たりを一気に短縮し、
圧倒的な音質の音楽再生を可能にしたLINN EXAKT テクノロジー。
マルチウエイのスピーカーのドライブユニットから放射された音波が
空間で再合成されリスナーの耳に届くことで閉じる録音と再生を巡るひとつの環。

従来のパッシブ・クロスオーバーでは実現できない、
歪の無い帯域分割と発音のタイミングを管理できる群遅延を駆使した
デジタル・クロスオーバーの利点に加え、
ドライブユニット自体で発生してしまう歪をも予め補正して、
スピーカーシステムトータルの音楽再生能力を初めて開花させるEXAKT digital filter。

既発表のモデルも含めLINN スピーカーシステムには勿論、
他メーカー製品用として最初にB&W Nautilus 向けに開発され、
EXAKT digital filter の効果の程はユーザーにも浸透し始めている。
今回、LINN が新たに発表したJBL S9900 のEXAKT digital filter と共に、
KEF Reference 5 専用のそれが、EXAKT テクノロジーの新しい展開として大注目だ。

自らの創り上げたスピーカーシステムに、
LINN オリジナルのツールを駆使して完成させたデジタルフィルターを導入するということ。
それは、既存のパッシブ・クロスオーバー完成品の設定値を単に置換するものではなく、
ドライブユニットの実際の挙動をも見据えた、スピーカーシステムのゼロからの設計開発。

つまりは設計者の責任、KEF のフィロソフィーが、
全く新しいデジタルフィルターによって問い直されるという、
メーカーの壁を超えたブランドパートナーシップの創造的な試み。

KEF のエンジニア、Dr. ジャックは言う。
「フェイズリニアな再生とポイントソースについてKEF は長年にわたって培ったノウハウがあり、
デジタル・フィルターを使うことには大変興味がありました。」
EXAKT テクノロジーをオープンなものにしたいとの思いで、
採用を提案するのに最適なブランドは先ずKEF、
との判断で始まったLINN からのアプローチ。

ブランドの垣根を超え、エンジニアとして、蓄積されたノウハウと
新しい技術的チャレンジの融合が実を結び、
ミュンヘンでのデビューに次いで東京でのデモンストレーションが実現。

EXAKT digital filter を創り込む上で、
これまで30機種以上のスピーカーシステムの
製品化のプロセスとの一番の違いは?との問いに、
「パッシブ・クロスオーバーの設計との最も大きな違いは、
求める性能に近づけるために何ができるかを突き詰め試行することではなく、
桁違いに多いパラメータの調整項目のうち、求める音のために何をすべきか、
そうでないかの見極めこそが大切。とは言え、
調整を反映した音が出せるまでにはわずかな時間しか必要としないため、
カット&トライの回数は飛躍的に増えるので、
イメージがぶれないようにするところには熟練が必要かな」、
とにこやかに具体的な苦労話で答える。

肝心のEXAKT digital filter を使った音の変化についても、
「Reference 5 の特徴自体を変化させるものではないけれど、
自分にとってはより生気がみなぎっているよう(=Life like)に感じている」、
との嬉しいコメントを寄せ、しかもこれがゴールではなくて、
スタートだと捉えているとのこと。

自ら最良のパフォーマンスを与えたスピーカーが姿はそのままに、
さらに生きいきと音楽を奏で始めている魔法のような光景は、
先進のEXAKT digital filter がもたらしたものだ。

そこに私たちが初めてLINN KLIMAX DS を目の当たりにした
2007年に感じたような戸惑いはもはや無い。

EXAKT テクノロジーからの新たな芽吹き。
一たび体験すれば、誰もが快哉を叫ぶはずだ。


EXAKTシステムの詳細はこちら

B A C H

打てば響く。
その響きに導かれ、とびきりの音楽作品が誕生した。

エストニアはタルトゥにある12世紀に建てられたヤン二教会。
そこにマリンバを前にしてKuniko が立つ。

手にしたマレットが音板を打つ。
生みだされた音は、消失してしまうまでの束の間、空間を駆け巡り、
同時に、あるいは、後から後から生まれた音達とその刹那、
その場所にしかない響きを奏でる。

B
A
C
H

と、4個の英文字が配列されるだけで想起されてしまう音楽をめぐる様々な事象。
それら一切の思い込みを軽やかに超えてゆく音楽の時間を収めたアルバムが
Kuniko の最新作だ。

solo works for marimba – マリンバのためのソロ作品集、とサブタイトルがつけられた
ディスクにして2枚にわたる大作「B A C H」(Linn Records) がリリースされる。

さあ、普段よりほんの少しだけ心を澄ませて再生をはじめよう。

マレットが的確に音板を打ち、解き放たれた全ての音がヤンニ教会の空気を動かし、
刻々と様相を変貌させる響きがリスナーを包んでゆく。
しなやかに伸び縮みしながら水平に流れる線と、
幾重にも交差しながら溶け合って垂直に戯れる綾。
音のバイブレーションと響きのエネルギーに身をまかせていると、
音楽は決定的瞬間の連続体であることを自然に感得することができるだろう。

マリンバ奏者としてこれみよがしではないKuniko のヴィルトゥオジティが
演奏空間の稀有なアコースティックの下、自由に飛翔している。
「B A C H」 は新しい音楽の旅へあなたを誘う。


※LINN RECORDSでは、6月23日リリース予定
UK盤:CKD585(2CDもしくは、StudioMasterファイル)

国内限定盤 CKD 586/S(2SACD)も、東京エムプラス様よりリリース予定

LINN RECORDSへのページはこちら

Kuniko Kato WEBサイトはこちら

21世紀もLP12

LINN にとってのアナログ再生は、1972年の創業以来一度も途絶えることなく、
高音質音楽再生の要として探求し続けていること。
LP12 の存在はそれを実証しています。

シンプルでコンパクトな佇まいのLP12 が、ノスタルジーでは無く、
レコード盤には、「触れることさえできるような、
血の通った鮮やかな音楽の生命が刻まれている」ことを教えてくれたからこそ、
今もなお、最良のターンテーブルとして世界中の音楽愛好家、
オーディオファイルの傍らで、ひと時もその回転が止むことはありません。

音楽に聴き入っているその時、
LP12 の中で何が、どう働いて、音楽に蘇るのか。
そして、LP12 を構成する様々なコンポーネントはどこでどの様に生み出されているのか。

Klimax LP12 を徹底解剖した動画、
「そこで起こっていること」(How does it work? 日本語字幕入り)、公開です。

8分弱のムービーに、3D 画像、キーパーソンのコメントや工場風景も交え、
Klimax LP12 の内側に肉薄。

知っているつもりの事柄が、視覚を伴う体験を通じて、
鮮やかに実感され、ついには、レコードが聴きたくなってしまうでしょう。

どうぞ、ご覧下さい


“This is the LP12”


“レコード” という音が

これは、「詩」なのか、何かのセリフなのか。
目的もなく選局したラジオをクルマの中でぼんやりと聞き流していた。

ぶっきらぼうに「金(カネ)がきたら」、という直截な言い方で、買いたいモノが列挙されていく。
それはこんな風に始まった。

       金がきたら
       ゲタを買おう
       そう人のゲタばかり かりてはいられない

       金がきたら
       花ビンを買おう
       ・・・・・・・・・

そうしたフレーズがいくつか繰り返されるうちに、不意に「レコード」という音の連なりが聞こえ、
耳をそばだてた。「レコード」は「レコード入れを買おう」、という言い回しに出てきたものだった。
その後特段の事件は起こらず、声の主は「詩」の朗読であることを告げた。

詩人の名も、題名もそのとき併せて電波に乗ったかもしれない。だが、悲しいかなメモも取れず
貧弱な記憶力ではその名を覚えてしまうことも適わなかった。ただ、自由にできるお金を手にし
たら、ゲタやヤカンを買ったりするのと同様に「レコード入れ」を買いたいと思っている暮らしの
様子、散らかった部屋で大切にされている音盤と再生される音楽に寄せる気持ちにはシンパ
シーを覚えた。

幾日か過ぎて、それとはなしに「金がきたら」で検索すると、たちどころに「竹内浩三 金がきた
ら」がヒットすることに不明を恥じた。1945年に20代前半で没した若者の心に届いた音楽のこと
を夢想する。あの頃の二ホンで「レコード」を大切にしたいという真っ直ぐで健気な気持ちには、
モノはあふれ返り、膨大な情報が飛び交う下の私たちとは全く異なる切実な思いが満ちてい。
る。

「いつ踏んで わってしまうかわからない」から買いたい「レコード入れ」に納めるはずのSP盤も
このところ無責任にリバイバル現象として扱われことの多いLP も「レコード」と呼称する私たち。
記録(レコード)された板には音楽が刻まれている、と信じること。その心根だけは「金がこなくて
も」忘れてしまわないようにしたいものです。

m.f.


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シリーズ5 イベント報告 その2

2016年3月10日、B&Bイタリア様ショールームでの「LINNシリーズ5」発 表会レポートその2。
LINN Products社 マネージングディレクター ギラード・ティーフェンブルンによる
プレゼンテーションの様子です。

■プレゼンテーション
この日のために「ティモラスビースティーズ・コレクション」を持参し、
スコットランドよりギラード・ティーフェンブルンが来日。
プロジェクターを使って、英国王室御用達メーカーであるLINNのコンセプト、
スコットランドの様子、シリーズ5で使われるファブリックとその製造風景など
簡潔にご説明させていただきました。

ギラードによるプレゼンテーションの様子 K200
プレゼンテーションでお披露目されたブランドムービー

ハリスツイード、ティモラスビースティーズなどのご紹介 K200
シリーズ5が必要とされるバックグラウンドを説明 K200
ファブリック交換の実演 K200

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シリーズ5 イベント報告 その1

2016年3月10日、関係者対象のシリーズ5製品発表会をB&Bイタリア様のショールームにて行いました。
スコットランドよりLINN Productsマネージングディレクター
ギラード・ティーフェンブルンも駆けつけました本イベントの様子をご報告いたします。

■会場
外苑前にあるB&Bイタリア様をシリーズ5の発表会の会場としてお借りして、
シリーズ5の2製品、530、520を展示デモしました。
飲み物を飲んでいただきながら、シリーズ5のサウンドはもとより
このシリーズの最大の特徴であるバリエーション豊かなファブリックを
お楽しみいただきました。
すでにラインナップされている「LINNコレクション」 「ハリスツイード・コレクション」のすべて、
そして、今後リリース予定の「ティモラスビースティーズ・コレクション」から いくつか、
プロトタイプとして西陣織を利用した「Kaji Kinranコレクション」などなど
”着せ替える” という無限のバリエーションを感じていただける展示といたしました。

デザイナー、インテリアコーディネーター、建築家、様々なブランドのご担当、
プレス、ユーザー様、その他多数の方にお越し頂きました。 K200
アプローチでは、ずらりと並んだシリーズ5が皆様をお出迎え。 K200

スコットランドから到着したばかりのティモラスビースティーズのファブリック も参考出展。 K200
サウンドパフォーマンスの主役スピーカーは、530モデル。 K200
プロトタイプとして出展した、西陣織 Kaji Kinranのファブリック。 K200 K200 K200
B&Bイタリア様のファニチャーとのコーディネートも自由自在。 K200
会場へのエントランス K200

イベント報告 その2(ギラードのプレゼンテーション)へ続きます→

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本年もありがとうございました

今年、皆さまはどのようなミュージックライフをお過ごしになりましたでしょうか。

今やLINN の代名詞といえる存在にまで成長した”DS ファミリー”にとって、
大きなステップと呼べる進化が2つも実現しました。

一つは今春、Kimax、Akurate、Majik すべてのレンジにおいて、
DS にもEXAKT LINK が装備されるアップグレードを発表。
これは、単にEXAKT 対応という機能性にとどまらず、
クロック・アーキテクチャを見直すことによる、
絶大な音質向上をもたらすという、音楽愛好家にとっても
大きな意義のあるものでした。

もう一つのトピックは、
Series 5 スピーカーの登場。
音質を損ねないでFabrik を着せ替えることができるという、
新発想で生まれたEXAKT スピーカーシステム。
シンプルなシステムアップでインテリアとの親和性も高く、
全く新しいフィールドへのLINN ならではのチャレンジがスタート。

既存のDS においても、音質最適化プログラム
“Space Optimisation” が適用され、
絶大な音質改善効果を皆さまにご体験いただくことができました。

そして、最後に飛び込んできた嬉しいニュース。
アナログにおいても、新星登場です。

隠れた名品として長くラインナップしてきたKlyde に代わって、
新MC カートリッジの誕生です。
その名も”Krystal”。
パフォーマンスに乞うご期待、で2015年が暮れようとしています。

アナログもデジタルもLINN クオリティで。
今後ともその活動にご注視をお願い申し上げます。

本年もありがとうございました。

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脳の目覚め

音楽を聴いて充足感を感じたり、癒されたり、時には開放感に浸ることもあります。
少し前にこんな体験をしました。

フジコ・ヘミングさんの演奏会をサントリーホールに聴きに行った時のこと。
ご存じの様にご高齢でいらっしゃいますが、初っ端からその迫力たるや想像をはるかに超えるもので、音の世界に引き込まれてしまうのに時間は要しませんでした。

目の前のフジコ・ヘミングさんを見て、音を聴こうと集中しているのですが、
いつのまにか私の意識は、遠い遠い中学生の頃に行っていたのです。
今の今まで決して思い出すことのなかった、そこで実際に包まれていた音楽とは関連のない、ただただ楽しかった日々が鮮明に甦ってきました。

なぜ今になって思い出したのだろう?

素晴らしい演奏を聴いて、脳のどこかが目覚めたからだと勝手に解釈して、そのことも思い出に残る演奏会のひとつになっています。

オーディオでも同じようなことが起こりました。
自力で設置したKIKO Systemで学生時代に大好きだったアーティストを初めて聴いた時のこと。
懐かしい楽曲と共に当時の思い出と感情に脳が支配され、ファン活動が再燃するきっかけになりました。
今ではコンサートにも足を運び、アルバムも購入と、あらためて特別な時間に浸るひとときを大事にしています。

音楽と「脳の目覚め」の関連性はわかりませんが、こうしたご体験をされた方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

a.h.


Project IX, 2015

そこに2015年のKUNIKO がいる。

Iannis Xenakis (ヤニス・クセナキス)が6人の打楽器アンサンブルのために作曲した“プレイアデス”と、打楽器ソロのための“ルボン a, b”を収録した作品を本年4月、Linn Records からリリースしたKUNIKO が自らプロデュースする音楽と映像のライブインスタレーション・パフォーマンスが東京に戻ってくる。

演奏至難なパートをいくつも収録してゆく孤独で緻密な録音作業、スコアを読み解き一つの作品として練り上げてゆくために全く気の抜けない編集作業。そうした常人の想像を超えるハードワークに加え、各パートを捉えた動画も総動員してクセナキスのイマジネーションを現実空間に出現させるライブインスタレーション。

“プレイアデス”というスコアがいかに繊細でダイナミックな音宇宙を秘めていたのかをKUNIKO が解き明かす。私たちの周りで音が生まれ交響し、全く新しい時空を共有する歓び。
そして、圧巻の“ルボン”があなたを身じろぎできなくする。繰り出される「音」はうごめくリズムの波動。「言葉で表現できなくなったとき音楽が始まる」、というドビュッシーの名言を引けば充分だろう。

先月には、「傘寿を祝う」と題して2夜にわたり、S. ライヒ、A. ペルトの作品を中心にしたコンサートで、聴衆を魅了した彼女が、改めて世に問う本公演にいやがうえにも期待が高まる。

打楽器奏者としてのポテンシャルを極限まで発揮し、近年のアーティストとしての充実した活動の総決算ともいうべき2015年KUNIKO のProject IX。ライブ空間で「音楽」の誕生を目撃できる幸せを。

語り継がれるステージがある。
それは、音楽だけにとどまらず、様々なジャンルで真に画期的な出来事として、突出した価値のある「事件」であるが故、後々まで記憶され、折に触れ人々の間で新しく甦る力を備えている。

その場に居合わせることができる特権。
見過ごすにはあまりに口惜しい絶好の機会だ。

http://www.kuniko-kato.net/ja/project/project-ix-pleiades/

m.f.

わたし達の美意識 と Music for Life

春夏秋冬で移り変わる、様々な自然の音景色。
例えば、夏の田園風景から聴こえてくるのは・・・

鳥のさえずりや、たくさんの虫の声。
小川のせせらぎ、吹き抜ける風、稲穂がなびく音。
どこかで、竹がしなり、ぶつかり合う音。
豊かな自然から感じられる音色は、注意深く耳を澄ませば
無数に存在していることに気づきます。
奥深い夏山で、あまりに激しい虫の音がシーター波となって、
頭の中が真っ白になってしまうような体験をしたこともあります。

でも、自然の中にある音は、どんな様子であっても、
それ自体を不愉快に感じたことはないようです。

おそらく、それらはとても繊細で、自然の一部である「人」と一緒に
溶け合ってしまうからではないかと・・・。

LINNのEXAKTから放たれる音楽に、それと同じような感覚を覚えます。
無意識のうちに、すぅーっと身体の中に素直に入り込んでくる。
そして、その透明感は、何の違和感も残さず、私の身体を通り抜けてゆく。

LINNのモットー「Music for Life」が実現する、最新のテクノロジーが奏でる
響きに、わたし達の美意識にもどこか共通する、洗練された素朴さと、
無私のバイブレーションを感じるのは、私だけでしょうか・・・・。

s.m.


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パサージュ・デ・パノラマ

ホテルオークラが、オリンピックに向け、改装をすると聞きました。
モダンでありながら、日本古来から伝わる紋様や、意匠がモチーフとして使われ、
何とも言えない味わいのある温か味を感じる場所です。

日本では、多くのものが新しく生まれ変わっていく傾向にあると思うのですが、先日、
パリ最古のショッピングモール “パサージュ・デ・パノラマ” についての記事を読みました。
その会長の言葉が印象に残っています。

「老舗の古さが売りだったが、古いばかりではつまらない。古き良き側面と新しさのバランスが
必要なんだ。」

創業当初からLP12を造り続け、一方では革新的なテクノロジーを用いた製品も発表している。
そして、そこには揺るぎない物づくりへの信念が通底している。
LINNの姿にも共通するものがあるかもしれません。

古き良きものが時代を超えて日常的に存在しつつ、一方では新しい歴史がつくられていく。
双方が影響し合い共存していくことで、時代を超えた普遍的なものとなっていく…。
そう言えば、会社、学校、家族の繋がりなど、多くは新旧あいまみえることで、
バランスが保たれています。これは、自然の摂理のようなものかもしれません。

全てを壊し、全く新しいものが誕生することも喜ばしいことですが、
歴史が感じさせる匂いに、かけがえのない魅力を感じます。

…パサージュの写真を見ながら想うのは…

この中に、趣味の良いオーデイオのお店、レコード屋さんや本屋さん、
時計や雑貨の修理屋さんがあって、気ままなcaféでくつろげたら…。
それぞれの店主の顔が、パノラマのように浮かんできました。

s.m.


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「とてつもない鉱床」

とてつもない鉱床が出来した。
Xenakis: IX (Linn Records CKD 495) がそれだ。
待ちに待ったKUNIKO の第三作がリリースされる。

本作でクセナキスに初めて出会うリスナーは幸せだ。
なぜなら、望みうる最高の水準で直に「音楽」と対峙することになるからだ。選ばれた作品自体の価値、演奏家の名技性の高さ、それを余すところなくとらえた優秀な録音等、いずれもが瞠目すべきクオリティであることは論ずるまでも無い。
むしろ、刻々と流れゆく時間のなかで、収録された「音」は一つひとつ解き放たれ交じり合い、やがて、これまでどこにも存在していなかった一つの生命体として目の前で誕生してゆく様を見届けること。たとえ、「わたし」に備わったちっぽけな常識の範囲に適切なコトバが見当たらずとも、不思議ではない。比類ないとはそういうことだ。
「音楽」ということさえ、忘れてしまっても構わない。ただ、「音」によって突き動かされ、こころの中に何らかの感情が生起している自分が在ることに気付いた瞬間、新しい世界と出会うのだ。

モノが触れ合うと音が発生する。しかも素材固有の音色を伴って。それらは、木だろうか、皮、それとも、金属。
Xenakis: IX から聴こえてくる「音」の全ては、周到に選択された打楽器を操るKUNIKO によって生み出されたものだ。機械的なパルスではない、生き物のリズム。
静寂から突然噴出するエネルギー、鋭いアタックと緩やかに消え入る余韻が交響し、移ろい揺らぐ渦、KUNIKO は燃えている。不思議なハーモニーや複雑なリズムの組み合わせの中に、予測を超えて浮かび上がる光彩に満ちた旋律を発見している彼女の、打楽器奏者としてのパワーとデリカシーを兼備した演奏はもはや創造の領域に到達した稀有なものだ。
本作は、クセナキスのイマジネーションが今もって、新鮮で驚異的であることを改めて告げている。


瑣末な情報や知識は後にして、さあ、再生を始めよう。
作品へのKUNIKO の献身を思えば、リスナーはただひたすら聴く事に徹することだ。
感受性のダイナミックレンジを最大にして。
持ち合わせの評価軸は封印し、「音」の奔流に身をまかせれば、終いには手に汗握り、思わず快哉を叫んでいるだろう。
鈍ら刀でなければ、極めて高い鮮度の音楽体験をいくらでも掘り出せる宝物を作り上げたKUNIKO には脱帽だ。

m.f.


Kuniko YouTube : https://www.youtube.com/watch?v=_-yERhrWQbo

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うたの記憶

わたしとあなたを隔てるもの。
こことここではないどこか、ニホンとニホンでない場所であっても。
ヒトの思いやこだわりをよそに、日は昇り、星はまたたき、風はそよぎ、さざ波は寄せて返す。
闇夜に嵐が吹きすさび、突然大地が揺れ、海が割れることもあっただろう。

うた、歌、唄、唱、詩、ウタ。

わたしが創ったコトバではないけれど、
その音にリズムを感じたり、繰り返し節をつけたりしていたら、
いつのまにか、あなたも同じように口ずさむようになっている。

ニホン語でうたわれてきたうた。
人がそこにいる。
うたが聞こえてくる。

松田美緒という音楽家の旅。
うたに出会う。
それが素晴らしい紀行文として一冊の本に編まれ、
素敵なディスクが添えられた。

空気は音になり、コトバはうたになり、風に乗って遠くどこまでも。
息吹きは命の気配。

うたの記憶から、うまれたわたしのうた。
それをあなたのオーディオで聴ける幸せ。

m.f.

LINN BOOK 完成!

明けましておめでとうございます。
リンジャパン・ウェブサイトを訪れていただいたすべての皆様にとって
2015年が最高に輝かしい年になります事をお祈り申し上げます。

2015年、第1回目の今回は、
いよいよ1月18日に全国書店(含アマゾン)にて発売されます、
オリジナルLINN フォトブック、「LINN -The Learning Journey to Make Better Sound.」
(通称:LINN BOOK)をご紹介させていただきたいと思います。

この本は、遥か遠くスコットランドで生産され続けている
LINN 製品のバックグラウンドを皆様に知っていただきたい!
との思いから制作されました。いつかはリンジャパンとして、
こんな本をつくりたいという希望をかねてより持っていましたが、
そのチャンスとタイミングを見図り切れないでいたところ、
LINN PRODUCTS 社創立40周年が過ぎた2014年春、
ステレオサウンド社より刊行についてのお話しが持ちかけられたことから、
このビッグなプロジェクトをスタートすることにいたしました。

資料としての意味合いが強くなりがちな
従来のオーディオブランド本とは180度違うものを・・・。
永くオーディオシーンをリードして来たにとどまらず、
生き生きとしたLINN のリアルな姿をクリアにお見せすることにより、
会社設立から現在、そして未来へと続くダイナミックな推移、すなわち、
極太の「矢印(=ダイレクション)」を伝えられることができる本にすること。
そして写真・レイアウト・装丁などのビジュアルはもとより、
一冊の「本」という存在それ自体から、製品に込められた造り手の思いや、
ロイヤルワラントを受けているクオリティの裏付けが伝わることを目指しました。
この「矢印」は、LINN 誕生以前から、そう、
つまりスコットランドの風土、文化、人々が起源のものです。
本の中では、それらスコットランドではありふれた、
しかしアジア東端の我々からは遠くにあって、何とも深みのある風景として、
数々の美しい写真によってごらんいただけるように配慮いたしました。

LINN は、多くの点で他のHi-Fiメーカーと違っています。
創設以来、一時も手放さず自らが会社を所有し、
製品企画・開発・設計の全てをインハウスで行い、
ケーブルや一部の埋め込みスピーカーを除くほぼ全ての製品を
スコットランド・グラスゴーにある自社工場で生産しています。
世界経済が比較的に豊かであった時代も、困難を極める昨今も、
生産拠点を海外移転したり、外部のマーケティング会社による製品企画に頼らず
常に一貫して自社生産を続ける理由とは何か。
他社製品や、その製造手法を摸倣することなく、
人々のミュージックライフをサポートするために
オリジナルな製品の創出を迷いなく行える体質はどのようにして育まれるのか、
等々。

そうした事柄のあれこれは、
美しい写真が満載のLINN BOOK を手にしていただければたちどころに、
実感していただけるものと願っております。

ぜひお楽しみください!

s.y.

ギド・ミシュラン Michelin Guide ・・・ 老舗の維持!(意地!?)

深紅の表紙と、ムッシュ・ビバンダムのキャラクターでお馴染みの
フランスのタイヤメーカー・ミシュランが自動車旅行者向けに発刊し続けている、
レストラン&カフェ&ホテルガイドブック。

初刊はパリ万博が開催された1900年。32,909部が無料で配布されましたが、
この頃のフランスには、わずか3,000台の自動車があるだけで、まして旅をする御仁は、
経済的にみても稀な時代です。 彼の白洲次郎氏が1924年に英国留学中に、
22歳で3リッターのベントレーを操り、週末はレースに勤しむなどは、東洋の小国においては
想像もできないほど浮世離れしていたのでしょう。

手元にある1961年版のMichelin Guideは(欲を言えば、小生の生まれ年である196♡版が
欲しかったのですが・・・)出入りしたことのある古物商で、ふと手にしたものですが、
ページを捲る度に、ミシュラン兄弟の自動車への深い愛情と、新しい時代の“道具”を通して、
“人生を楽しむ“ために必要不可欠なバイブルのようにも見えてきました。

半可通な小生でも知っているような店名を探してみると・・・
ありました、トゥール・ダルジャン(Tour d’Argent)。 星3つ!カトラリーマーク5つ!!
という最高の栄誉を継続していた時代です。

昭和天皇にナンバリングした鴨料理でもてなした話や、北大路魯山人が鴨料理を
わさび醤油で食した・・・などの逸話が突然フラッシュバックしてきて、
「あぁ、やっぱり当時は最高の店だったんだ!」と妙に現実味を帯びて嬉しかったりします。
残念ながら2006年には星ひとつの扱いになってしまったのですが。

リストを眺めていると、世の移り変わりに伴い、超一流を維持していくことの困難さと、
時代を超えて進化し続けることへの挑戦と努力には畏敬の念を抱いてしまいます。

昨年、創業40周年を迎えたティーフェンブルン親子(リン創設者&現社長)も、
オーディオという“道具”を通して、人生を楽しませてくれることでは、
ミシュラン兄弟にも負けてはいません。

オーディオという音楽を楽しむ“道具”が、いつの間にか、崇高な趣味に仕立てあげられ、
シラケてしまったハイエンド市場に、リンは2013年“EXAKT”を投入し、
単なる次世代のオーディオ製品の発表ではない、新たな人生の楽しみ方を
提案しているのです。 是非、老舗の進化した味を食してみませんか!

ちなみに、小生がミシュランのタイヤを履くのも、これなくしては
動くことは無いクルマを操るときに、歴史に裏打ちされた実績と、
進化し続ける信頼から得られる安心感が、何より大切に思えるからなのでしょう。

木枯らしの冷たさが身にしみる季節がやってきました。
今年のスタッドレスは、どのような進化を見せてくれるのでしょうか・・・
雪が舞ってくるのが楽しみです。

t.k.

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オクダ少年、1959年10月23日生

待望の単行本が刊行されました。
奥田英郎著「田舎でロックンロール」(角川書店)がその一冊。


己の不明を恥じれば、著者の奥田英郎さんの他の作品を手にしたことも無く、
まして「小説 野生時代」誌の存在には目もくれず過ごしておりましたので、
この春、とある方のご厚意でこの連載があることを知らされ、
しかも初回からの既出分をコピーでお手渡し下さったのがそもそもの始まり。
ともかく「巻を措く能わず」の字義通り、文章に一気に引き込まれ、
翌月号を早く読みたいとまで思うようになってしまいました。
その連載もこの八月に終了、短編が一つ加えられて。


1959年生まれのオクダ少年の「1972~77年までの、わたしの洋楽青春期を綴ったもの」
(あとがきからの引用)とまとめることもできますが、流石に本職の作家の方が
「楽しい仕事だった」とこれまたあとがきに記されている通り、本当に面白く読めて、
その上であらためて音が聴きたくなる衝動にかられること、請け合いです。
ロックにどのようにして出会ったか。それは教科書が教えてくれない、今とこれからを手さぐりで掘り当てていく泥臭い作業であったかもしれません。
世代や地域で趣味や嗜好が異なることは否定できません。

しかしながら、この本が素晴らしいのは、オクダ少年がロックを手繰り寄せ成長する様子が、
一人の聴き手が音楽に選ばれる物語として、コミカルなタッチも織り交ぜて、
ロックファンにはもちろんのこと、門外漢にも楽しめる読み物になっているところでは
ないでしょうか。その上で、1970年代の洋楽受容についてのドキュメントになっていることも
見逃せません。ひとはどのようにかして音楽と出合い、それを年月を超えて大切なものとする、
その不思議をあらためて気づかせてくれるのです。


大人になったオクダ少年は、嬉しいことにアナログレコードの再生も復活させて、
おまけに中古レコード店巡りもなさっているご様子。
ついでに、良い音で音楽を聴く醍醐味にも言及されたり、タイトルを見ただけで
読まないでいるのはあまりに勿体無いのでは、と音楽に夢中になった時期を
過ごされたことのある方々に声を大にしてお伝えしたい快作です。


「田舎でロックンロール」。


スコットランド、グラスゴーでオーディオ製品を作り続けているLINN も
そう呼べるかもしれません。

音楽のジャンルによる分類ではなく、音を通じて新しい世界に触れること。
どこにいても、いつであっても、広いこころを持ち続ければ新しく音楽と出会える。
そんな希望も湧いてきます。

LP12で聴くロックのレコードも格別ですからね。


2014年11月 m.f.

☆DSC_0981KIKO
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KIKO LIFE

KIKO DSMシステム。

初めて聴いた時よりも色々な曲を聴けば聴くほど
その魅力に引き込まれていく。
KIKOは感動の余地を残す優れたシステム。
そのことに気づいた日から、私の頭の中はKIKO LIFE妄想の日々。

色はシャンパンスーパーノヴァがいい。
適度な丸みは温かみがあって癒される・・・。

数か月後、妄想を現実に変える決意をしました。
30才の時、それに見合うようにと
カシミアのロングコートを購入した時のことが甦ったのです。

カシミアに出会った時に、とある方から
良いものを着るとそれを大切に扱う心が養われると
教えていただきました。
ボタンの掛け方ひとつ、ハンガーの掛け方ひとつ
とってもそうであると。

KIKOは豊かな気持ちを養う存在になるかもしれない・・・。
そんな勝手な妄想により手に入れることを
決めたのでした。

我が家のKIKO、
気持ちの良いくらい伸び伸びと奏でてくれます。

今日は何を聴こう。
昔、よく聴いていたお気に入りの曲は、
今聴いたら、また違った風に聴こえるのだろうか。

色々な思いに馳せつつ、KIKOのお陰で
”音楽のある豊かな生活”を満喫しております。

まだ環境を整える必要はありますが、
それも楽しみのひとつに残して。

a.h.

☆DSC_0981KIKO KIKO DSM SYSTEM

刹那に消えゆく音と光。それらを生み出すオーディオと明かりの濃密な関係。

谷崎潤一郎の随筆 「陰翳礼讃」 。1930年代、電灯がろうそくの明かりにとって変わり、影が消えゆく空間のあり方に一石を投じた(無駄な抵抗?)名著ですが、高度成長期に入ると追い打ちをかけるように蛍光灯が普及し更に平面的な光が家庭を席巻してします。太陽の光は、人の血圧を上昇させ、日が暮れれば血圧は下がり脳が弛緩して眠くなりリラックスします。折角、仕事から解放され落ち着いて音楽を楽しむのですから、ゆったり寛いだ気分で音楽とオーディオのデザインを楽しんでみませんか?

以下、私事で恐縮ですが・・・。愛用している照明のひとつに、1924年にバウハウスのウィルヘルム・ワーゲンフェルト&カール・ヤコブ・ユッカーがデザインしたバウハウスランプWG24が有ります。これが世に出た一時代前のアール・ヌーボー等の芸術的な一点モノではなく、工業化という社会の流れの中で新しい価値観と完全な量産化を90年前!に実現しています。ガラスと金属という無機質な素材を円と円柱だけで構成しながら、和洋を問わず如何なる空間にも無駄な主張をせずに溶け込ませることができる懐の深さがあります。

Klimaxシリーズの滑らかにアルマイト処理されたアルミブロックの表面は、蛍光灯の下では気が付き難いのですが、薄明りにおいては、線と弧が織りなす綾が視線の移ろいに応じて微妙に表情を変えます。毎晩、飽きもせずに眺めながら「今日もアリガト」とついつい思ってしまいます。

それらが並んだ写真を見ると、第3代校長のミース・ファンデル・ローエの名言「God is in the detail」(神は細部に宿る)、「Less is more」(より少ないことは、より豊かなこと)というモダニズム建築のコンセプトが正に凝縮されていると思えてきます。バウハウス初代校長のワルター・グロピウスも愛用していたようで、校長室の古い写真にも鎮座しているのが発見できます。

人の五感である、「聴覚」「視覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」。いずれもが形の無いものを感じ取る大切なセンサーです。形の無いものほど、私たちにとって真に大切なものになり得るのではないでしょうか。お気に入りのランプを探し、少し明かりを落してオーディオ&音楽を楽しんでみませんか?気になる音質だって、きっとプラシーボ効果だけのアクセサリーより、安価で効果絶大!?です・・・ね。

t.k.

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快挙と言わずして

この10月20日にリリースされる一枚のLPレコード。それは、長く語り継がれるものになるだろう。加藤訓子、いやむしろ、Kuniko という名称が世界中で通用する素晴らしいパーカッショニストの演奏によって新たな価値を得たスティーブ・ライヒの「カウンターポイント」作品が両面に刻まれている。

ここに至るそもそものきっかけは、ライヒの楽曲を、音楽家として最上のかたちで演奏したいという一人のアーティストの切なる願いと、スコアの理想的な再構築を目標にアンサンブルのために書かれた全てのパートをともかく最上のクオリティで録音してしまう、という実行力
192/24 で録音されたマルチトラックの編集作業がきっかけとなり、録音作品として完成を見るまでにはエンジニア達やLinn Records との幸福な出会いがあり、2011年、”kuniko plays reich”(CKH 385) が世に出たのです。たちまちに、ディスクはもちろん、スタジオマスター音源も高評価を獲得し、同年のレーベル・ベストセラーとなりました。
第二作として昨年発表された”CANTUS”(CKD 432) にもライヒは一作収録され、ここでも、卓越した演奏のみならず、スコアリーディングから編曲、さらには各パートの録音に引き続く編集仕上げという、粘り強くも精緻な作業が、リスナーに届く心地よい音の重なりや連なり、溶合う響きの向こう側では繰り広げられています。

「私の音楽」が確実に世界中で評価される、ということ。メジャーレーベルが凋落した今、才能豊かな音楽家の演奏を余すことなくリスナーに届けたいというLinn Records のポリシーがKuniko の作品達の真価を新しい聴き手にアピールできた結果、この度のレコードリリースが実現するのです。音楽を、オーディオを、絶えず新たに進化させているLINN からの、懐古趣味とは無縁の新譜LPを嬉しいプレゼントとして素直に喜びたいと思います。

音楽家の心が込められた作品のグローバルリリース。小さなレーベルの大きな仕事。ジャンルで分類し枠にはめることで馴れあってしまう音楽を超えて、時代を共にできるアーティストの演奏に触れ、さらには次作にも思いを馳せることを忘れないために、一枚お手許に置いてあってしかるべきかと。

m.f.

DISCOGRAPHY
CKH_485
CKD432「CANTUS」CKD385「kuniko plays reich」


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